開発していると、結構コマンドプロンプト(CMD.exe)を実行することがあります。
普通に CMD.exe を起動すると、普通の権限で起動します。
しかし、管理者権限でのみ動作するようなプログラムなどを起動したい場合に、一々 UAC が開くのは煩わしいものです。
かといって「管理者としてこのプログラムを起動する」っていうチェックをいれるというのも、いまいちです。
というのも、もしも顧客に対して提供するコマンドラインツールがあったとすると、「このコマンドを実行して下さい。このコマンドは管理者権限で~云々」と説明しなくてはならないためです(しかも正しく伝わる確率の方が低い!)。
そこで、管理者権限で起動する CMD.exe を作ってみます。
ポイントは3つ。
1つ目は、CMD.exe のパスの取得です。
CMD.exe のパスの取得はいくつかやり方があります。
まずは SHGetSpecialFolderLocation を使って「Windows\System32」のパスを取得し、そのパスに CMD.exe を結合して実行する方法です。
とても真っ当な方法ですが ItemIDList を取得したりと、何かと面倒です。
そこで、もう1つの方法「環境変数」から取得することにします。
環境変数「ComSpec」は、CMD.exe のパスを示す環境変数です。
取得した環境変数を展開して有効なパスに変換する API が ExpandEnvironmentStrings です。
これを使って「%ComSpec%」という環境変数を「C:\Windows\System32\cmd.exe」に変換します。
2つ目は、管理者権限での実行です。
とても有名なので既にご存じかも知れませんが、ShellExecuteEx の lpVerb に 'runas' を指定して、プログラムを実行すると UAC が開いて管理者権限で実行できます。
これについては過去のデベロッパーキャンプでエンバカデロの高橋さんが説明(pdf)されています。
3つ目は、起動しても自分自身は見せずに CMD.exe だけを実行する方法です。
プログラムを一個起動するだけなので {$APPTYPE CONSOLE} で、コンソールアプリとして実装すれば良さそうに見えますが、そうするとコンソールが開いてしまいます。
そこで、今回は何も指定しない、つまり {$APPTYPE GUI} としてアプリケーションを作る事にします。
こうすることで、開く Window(TForm)が存在しないため、何も表示せずにアプリケーションを実行可能です。
これらを踏まえたコードが下記です。
program AdminCMD;// 自分を表示したくないので指定しない//{$APPTYPE CONSOLE}usesWinapi.Windows, Winapi.ShellApi, System.SysUtils;// 管理者権限で実行するfunction RunAsAdmin(const iExeName, iParam: String): Boolean;varSEI: TShellExecuteInfo;beginResult := False;// runas は、Vista 以降のみ動作するif (CheckWin32Version(6)) then beginZeroMemory(@SEI, SizeOf(SEI));with SEI do begincbSize := SizeOf(SEI);Wnd := 0;fMask := SEE_MASK_FLAG_DDEWAIT or SEE_MASK_FLAG_NO_UI;lpVerb := 'runas';lpFile := PChar(iExeName);lpParameters := PChar(iParam);nShow := SW_SHOW;end;Result := ShellExecuteEx(@SEI);end;end;varCmdPath: String;begin// 環境変数から CMD.exe のパスを取得するCmdPath := StringOfChar(#0, MAX_PATH);ExpandEnvironmentStrings(PChar('%ComSpec%'),PChar(CmdPath),Length(CmdPath));CmdPath := Trim(CmdPath);// 管理者権限で実行RunAsAdmin(CmdPath, '');end.
このコードを実行すると……
UAC の確認ダイアログが出た後に
コマンドプロンプトが開きます。
使いどころを誤らなければ、便利なコマンドプロンプトだと思います。
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